近世初期風俗画の“男女遊楽図”に画想を得たものであろう。6曲1双の屏風には、江戸初期の風俗で遊里の世界が描かれている。画面全体に銀が施され、右隻には禿(かむろ)と柳、左隻には若侍と遊女、右隻と左隻を通して川が描かれている。若侍は、茶筅髷に被り物、袴に胴服姿で扇を手にする吉原通いの風体で、遊女をともなって吉原堤を逍遥しているのであろうか。遊女に仕える禿は、愛らしい紅鹿子に袖替りの小袖姿で遊女の三味線を持って後に従う。画面が銀地のうえ余白が多く、人物・柳・小川などの描写が静的であるためか、いわゆる遊楽図の華やぎは無く、寂寥感が漂う作品である。署名の書体はNo.90「不破」に似ており、明治末頃の作品と思われる。
近世初期風俗画の“男女遊楽図”に画想を得たものであろう。6曲1双の屏風には、江戸初期の風俗で遊里の世界が描かれている。画面全体に銀が施され、右隻には禿(かむろ)と柳、左隻には若侍と遊女、右隻と左隻を通して川が描かれている。若侍は、茶筅髷に被り物、袴に胴服姿で扇を手にする吉原通いの風体で、遊女をともなって吉原堤を逍遥しているのであろうか。遊女に仕える禿は、愛らしい紅鹿子に袖替りの小袖姿で遊女の三味線を持って後に従う。画面が銀地のうえ余白が多く、人物・柳・小川などの描写が静的であるためか、いわゆる遊楽図の華やぎは無く、寂寥感が漂う作品である。署名の書体はNo.90「不破」に似ており、明治末頃の作品と思われる。