伊豆市所蔵美術品デジタルミュージア
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大原御幸 [おはらごこう]

員数:
1幅 
制作年:
明治44年頃 
材質:
軸・絹・着色 
サイズ:
115.7cm × 41.9cm 
落款:
 
箱書・表:
 
箱書・裏:
 
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 『平家物語』「灌頂の巻 大原御幸の事」にもとづき、文治2年(1186)の晩春、後白河法皇(1127-1192)が、落髪して洛北大原の寂光院に隠棲した建礼門院(1155-1213)のもとに行幸した話を絵画化したもの。この画題は、近世の屏風絵や絵巻物に遺例があるほか、明治41年の国画玉成会に下村観山が出品した絵巻や、明治42年の第10回紅児会展に今村紫紅が出品した掛幅の「大原の奥」など、明治期の作例によっても知られるところである。本図では、花摘みから戻って縁側から室内に入ろうとする建礼門院と大納言の典侍の局の姿を庵の手前に、法皇の一行を庵の向こう側に配し、背後には高く聳える杉木立を淡いシルエットで浮かび上がらせている。主要モティーフを縦長の画面の下半分に集め、上部にゆったりとした空間を設けた構成は、いわゆる紅児会風のスタイルといってよかろう。


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