この画題は、中国に古くから伝わる孝行譚『二十四孝』のうちのひとつで、虎が登場する物語である。その内容は、父とともに山中で虎に出会った揚香という少年が、自分の命と引換えに父だけは助けてくれるよう天に向かって祈ったところ、天の思し召しにより虎は逃げ退き、父子ともに難を免れたというもの。画中の細く流れるような描線は、靫彦が中国古代の美術品に学んで獲得したもので、大正14年第12回再興院展に出品された「日食」などに見られる描線と同質のものである。
この画題は、中国に古くから伝わる孝行譚『二十四孝』のうちのひとつで、虎が登場する物語である。その内容は、父とともに山中で虎に出会った揚香という少年が、自分の命と引換えに父だけは助けてくれるよう天に向かって祈ったところ、天の思し召しにより虎は逃げ退き、父子ともに難を免れたというもの。画中の細く流れるような描線は、靫彦が中国古代の美術品に学んで獲得したもので、大正14年第12回再興院展に出品された「日食」などに見られる描線と同質のものである。